徒然の都

ベルウィックサーガ、ファイアーエムブレム聖戦の系譜&if、過去のSS置き場。

2015-01-01から1年間の記事一覧

ベルウィックサーガ・7週目ミニ小説・第十ニ章「闇の司教」~another side~

それは彼女にとって悪夢のような一日だった。突然の、黒服の男達の乱入。数十名の黒服達が巫女の神殿に押し入ってきた時には最初は何事かと思ったが彼らが身に着けている紋章を見て、パラミティースは思わず顔を強張らせた。 ラーゼンクロー、ラーズ教団でも…

ベルウィックサーガ・7週目ミニ小説・第十一章「流血の谷」~another side~

華美な装飾品も最早要らない、 着飾るためのドレスも要らない…あるのは、父の仇を討つ覚悟と祖国リアナの復興を願う心だ。アイギナは、だが女としてある一人の男性にどうしようも無く惹かれている自分を自覚していた。恋等、今の自分には不要の物である事は…

ベルウィックサーガ・7週目ミニ小説・第十章「女聖騎士」~another side~

「ムリン、ダンファー。良く来てくれました。」 女性特有の柔らかな声の響きでもってアルヴィナは2人を執務室へと迎え入れた。ここはルーアン城の一室、窓から一望出来る景色は城の周囲を取り囲む高い崖と小さいが美しい城下町。窓の景色を見ていたアルヴィ…

ベルウィックサーガ・イラストその3

ベルウィックサーガ・7週目ミニ小説・第九章「橋梁破壊」~another side~

「クラウディア、今戻った………!?」 自宅のドアを開けて、騎士ハロルドは妻にそう告げようとして絶句していた。目の前には…アーサーが居た。 どうして、ここに…!?それは、アーサーとても同じ思いだったのだろう。アーサーも、驚愕したようにこちらを信じら…

ベルウィックサーガ・7週目ミニ小説・第八章「木馬兵団」~another side~

「あの男は私のよ、私が殺すの!」 ケイは、シェルパの方を見て叫んだ。だが、無残にもシェルパは大勢の帝国兵達に拘束され身動き出来ずに居た。 「我らがまず、この傭兵を尋問する。その後もし生きていればお前にくれてやっても構わん。」 帝国兵兵団の団長…

ベルウィックサーガ・7週目ミニ小説・第七章「公子救出」~another side~

寒い、ひもじい、体が動かない…ここはとある田舎街の道路脇、親に捨てられた一人の子供がひっそりと体を横たえぶるぶると震えていた。その瞳には希望がなかった。随分と前から何も食べていない…虚ろな瞳で通り過ぎる馬車を見る。 「止めてください。」 ふと…

ベルウィックサーガ・7週目ミニ小説・第六章「前線の街」~another side~

ギィ、と修道院のドアが開く。 入ってきたのは、裕福そうな商人風貌。 銀糸を縫い込んだ、チョッキに赤いガウンと派手な出で立ちで ブーツの音を響かせて入ってくる。 修道院の中で遊んでいた子供たちは そちらの方を見ると そそくさと奥へと引っ込んだ。 人…

ベルウィックサーガ・7週目ミニ小説・第五章「城砦防衛」~another side~

時刻は夕刻…何時もなら大地の下へと太陽が沈む頃合。今は冷たい糸のような雨が細々と降っている。国境を警備していたガードナイトの青年マーセルは、ゆっくりと視線を前方に向けた。ふと、その目が険しく細められる。遥か前方に黒い、無数の人影を認めたから…

ベルウィックサーガ・7週目ミニ小説・第四章「撤退援護」~another side~

ドラゴンの背中に乗り空を駆ける為には まず風を読まなくてはならぬ。 今日は、帝国の大草原の空中で竜騎士達による模擬試合が行われていた。ルールは一対一での決闘だ。 東の空域には小柄なドラゴンに乗り青い髪を風に吹かれるままに流し、実直そうな 瞳で…

ベルウィックサーガ・7週目ミニ小説・第三章「司祭3人」~another side~

ラーズ司祭フェルマーは、 薄暗い洞窟の中で熱心に祈りを捧げていた。この狭い場所で、他にも十数名もの ならず者風貌が揃いも揃って頭を垂れている。頬に傷持つ者。体に刺青をしている大柄な男等で構成された彼らはデミアス山賊団と呼ばれ界隈の人から恐れ…

ベルウィックサーガ・7週目ミニ小説・第二章「山賊討伐」~another side~

「だから、ソフィーは…!」 「お前には…無い事だ。」 「でも…!……!」 「……!黙れ!それ以上…」 ここは、ラーズ帝国の名門貴族ハルス家の豪邸の一室。 中から男と女の激しい口論が聞こえる。 男はハルス家の当主にして豪弓パスカニオンの開発を指揮している…