徒然の都

ベルウィックサーガ、ファイアーエムブレム聖戦の系譜&if、過去のSS置き場。

兄妹 Part1(ファイアーエムブレム聖戦の系譜SS)

これはとある修道院でのとある兄妹のお話。

あたしは修道院を囲む塀の上で寝そべって
今日の稼ぎを品定めしていた。
「パティ、お前また盗みをしてるなー!」
下からよく知った声が聞こえる。
あたしと一緒の黄金の髪を持った
小柄な少年、うちの兄貴のファバルである。
「うっさいわね!修道院の孤児たちを
養う為だもん、仕方がないでしょ!」
いつもの表情で真下にいる兄貴を
どなりつけた。
「まったく、盗賊まがいの事をして……!
金なら俺が稼ぐっていつも言っているだろ!」
兄貴はああいっていつも怒るけど本当はこっちの
ことを心配してくれて怒ってるんだって分かる。
だって仕方ないもん。あたしが稼がないと
兄貴が狩人の傭兵の募集先で何日も帰って来なくて
そこで死んじゃう可能性だってあるんだもん!
だからあたしは盗賊としての道を選んだ。
だれにも文句は言わせない。
「パティー!!降りてこいって!顔をつきあわせないと
話もできないぞ!」
兄貴があんまり怒るんであたしは品定めしていた
金貨を袋にしまって塀からぴょーんと飛び降りる。綺麗に足を揃えて着地。
「はいはい、兄貴!これでいいんでしょ」
まったく兄貴は心配性で困る。
あたし一人でだって孤児のみんなのご飯代や服代を

稼げるんだから!
「で、そのかっこまた傭兵として戦にいくのね?」
兄貴は戦装束に愛用の弓を携えて
真剣な面持ちでこちらをみている。
「そうだ、だからお前に挨拶に来たんだぜ」
「で、今度は何ヶ月帰って来ないのよ?」
「今度の戦争は長引くからさ。予定は分からないんだよ」
「まったくー何よーそれ!」
あたしはマジでキレた!
両親だって行方不明だしたった一人の肉親の兄貴ですら
この調子で一緒にも居てもくれない。
数年前はよくわがままをいって泣いたものだ。
だけど、兄貴はいつもこう言って出て行った。
「お金の心配をお前にはさせたくない。
だから俺は戦うんだ。後、留守をを任せられるのは
お前にしか頼めないことだから。
ついてくるなんてわがまま言うんじゃねえ。」と。

 

Part2へ続く