徒然の都

ベルウィックサーガ、ファイアーエムブレム聖戦の系譜&if、過去のSS置き場。

兄妹Part2(ファイアーエムブレム聖戦の系譜SS)

「しょうがないわね!じゃあ出かける前に
あたしの特製のお弁当つくったげるから
向こうで食べるのよ!」

あたしはわざわざ作った笑顔でそう言った。
兄貴はちょっと困った顔をして
「お前は女らしくないくせに料理だけはうまいからな。
弁当作る間だけ待つか」

と呟いた。
「兄貴、つけあわせの野菜を畑から
とってきて!早くね!」
「へいへい。」
兄貴はダッシュで畑まで飛んで行った。

あたしは修道院の中にある小さな台所に入った。
同居人の孤児の一人が不安そうにこちらへかけてくる。
「パティねえちゃん、ファバルにいちゃん、また
戦争にいくの?」
先日6歳になったばかりのカレンだ。
いまにも泣きそうな顔をして
こちらを見上げている。
あたしまで泣きそうになるのを
こらえて笑顔をつくった。
「そうだよ。兄貴はまた傭兵のお仕事で
出かけるんだ。」
それを聞いて泣き出すカレン。
「せっかくにいちゃん帰ってきたのにまた
いなくなるの?いやだー、いやだよー。」
その泣き声があまりにも大きいので
周りから他の子たちが大勢集まってくる。
「カレン、なんで泣いてるんだ。」
「ねえちゃんが泣かせたんだなー。」
口々にいう孤児たち。あたしは
弱気な心をみせまいと精一杯虚勢をはる。
「あのね、兄貴がまたお仕事に行くんだ。
カレンはその事で泣いてるんだよ。」
と言った。
そこへひょっこり兄貴が台所へ入ってくる。
「おーいパティ、野菜はこれでいいか?あれ?
なんでみんな集まってるんだ?」
きょとんとした顔でこちらを見る兄貴。
「ファバルにいちゃんー」
孤児のみんなが泣きそうな顔で
(中には既に泣いている子も居た)ファバルを囲む。
「パティ、この子らに俺の事話したな?」
困ったような表情で孤児たちにすがりつかれて
途方にくれている。
「みんな、泣かないの!うちの兄貴は強いんだから!
ぜったいぜったい、死なないんだから!」
あたしは笑顔でピースサインを作った。
「ほんと?ファバルにいちゃん、また帰ってくる?」
「居なくならない?僕らのパパとママにみたいに」
孤児たちが泣き顔で口々にいう。
「ああ、俺は絶対に、死んだりしない!
必ずお前たちのとこに帰ってくるからさ!
だから泣き止めよ。な?」
兄貴は野菜を台所の皿の中に放り込んで
孤児たちの頭を順番になでた。
そうだよ、兄貴は死んだりしないよね?
だってあたしの自慢の兄貴だもんね!

=FIN=