徒然の都

ベルウィックサーガ、ファイアーエムブレム聖戦の系譜&if、過去のSS置き場。

ベルウィックサーガ・4週目攻略メモ その40

14章「集いし者」15ターンクリア
 
出撃要員:リース+ウォード・セネ・イゼルナ・サフィア・
ファラミア・フェイ・イストバル・シルウィス・
ラレンティア・アーサー・ダウド・エニード
 
【メモ】
7ターン目、門開錠
11ターン目 ピアス撃破
13ターン目 リネット説得
15ターン目 ゴルドヴァ撃破
 
【オマケ・ミニ小説~14章】
 
ナルヴィアの修道院の裏庭に位置する所に
広大な墓地がある。
そこにはシノン騎士団の戦没者
今も静かに眠っている。
昼前の時刻、陽光が眩しくその地を照らす。
そこに訪れているのは2人の女性。
白の輝くローブを纏ったサフィアと
軍服に身を包んだパラミティースだ。
サフィアの手には、真っ白な花が入った
篭が握られている。
膝をついて、墓地に花を添えながら
ぽつりと呟くその言葉は。
 
「もうすぐ、戦争は終わります。どうか安らかに・・・。」
 
暖かい言葉と共にひとつひとつの墓を見回るのが
サフィアとパラミティースの日課となっていた。
 
 
先の戦いで悪名名高いピアスや
ラーズ帝国の高司祭ゴルドヴァを
打倒したリース達シノン騎士団は、リネットを
無事取り戻した。
今頃は、深い傷を負ったリネットの枕元に
リースが付き添っているのだろう。
その事を想像するとサフィアは、心の中がそわそわとして
落ち着くことなく複雑な心境に陥っていた。
 
(ああ、ヴェリア様・・・自分が恥ずかしいです。
リース様のことで
こんなにも心が乱されるなんて。)
 
リネットはリースの義妹である。
リースがリネットを大事に扱うのは
当然の事でもあったが、
サフィアはその事に嫉妬していた。
しかし嫉妬、と言う感情はヴェリア女神の教えの中では
恥ずべき物とされていた。
しかも、生まれてから最近まで閉鎖された
神殿の中だけで過ごしてきた
世間知らずのサフィアにとって
その感情は生まれて初めての物だった。
だからこそ、自分に戸惑いまたリース公子に
想いを寄せていた自分のほのかな恋心と
言う物をはっきりと自覚するに至った。
書物では恋愛の話を山ほど読んだが、まさか
自分がこのような状態になるなんて、と
軽くため息を付く。
そんなサフィアを心配そうに、姉のように母のように
見守るパラミティース。
 
「リース様はお優しい方ですから…リネット様は
幸せでしょうね。」
 
嫉妬の心とは裏腹にそんな言葉が
サフィアの口から出てくる。
 
「サフィア様。心中お察しします。」
 
パラミティースもまた女性であったからこそ、
サフィアの揺れる心が手に取るように分かった。
その言葉をかけた時、ふっと何かに
突き動かされるように
サフィアはパラミティースの懐に飛び込んで
その胸に顔を埋めた。
 
「ね、パラミティース・・・恋をするって苦しいね。」
 
その震え声からするとおそらくサフィアは
泣いているのだろう。
パラミティースはただ、黙ってサフィアの
綺麗な髪を撫でてやり
無言で立っていた。
例え失恋しようとも、それは人生の中では良い経験となる。
その事をまた自分の生の中で知っていたからこそ
何も言わず黙って見守ると言う姿勢を貫く
パラミティースであった。
 
 
シノン騎士団の中では終戦ムードが漂いつつあった。
 
「なあ、この戦争が終わったらシノンに戻れるんだよな。」
「そうだ。草原の国シノン、懐かしいぜ。」
500年も続いた戦争が終わるなんてなあ。
俺たちの戦いも無駄じゃなかったってことだな。」
「戦いが終わったら・・・まず何をする?」
 
生気のある顔つきで口々にそんな事を呟きながら語らい合う
若い兵士たち。
そんな兵士たちを和やかな顔つきで見つめながら
己の弓の手入れをしているのはシロックだった。
 
(そうか・・・ようやく戻れるんだな。シノンに。)
 
それは感慨深く心に響く郷愁の言葉だ。
そしてぼんやりと故郷に想いを馳せると
もう一つ浮かんでくるのは一人の美しい女性の事だった。
 
(オルフェリア・・・。)
 
己を魔女だと弾劾されて、後ろを振り向く事なく
酒場を出たその姿。
そして彼女の奏でる竪琴の調べ。
ナルヴィアに来て、シロックの心の慰めと
なり支えとなったのは
オルフェリアその人ではなかったか。
そのオルフェリアを残したまま、シノンに戻るという事が
自分には出来るのだろうか。
だが、現状ではその道しかないだろう。
自分の想いがはっきりと相手に伝わっていない今では。
ふ、と軽く息をこぼし弓の弦を軽く弾いてみせる。
竪琴の流麗な調べには程遠かったが
かすかに音色が鳴った気がした。
そして昼は過ぎる。
時刻は夜の刻限へと移り変わろうとしていた。
 
 
夜、空には宝石のように星が瞬いている。
さやさやと春の空気が木々を揺らし
月光が優しく地上を照らす。
ウォードは、黙ってナルヴィアの居城の
中庭に立っていた。
このような気分の良い晩は散策でも、
と思いここに足を運んだのだ。
ふと中庭のベンチに一人の人物の気配を感じて
自然にそこへ足を向ける。
暗闇に紛れるようにして黒く重い甲冑に身を包んだ
男がそこには座っていた。
 
「デリックか。」
 
ウォードはデリックの真向かいに立つようにして空を
見上げる。
そして口の端に自然に出てきた言葉を
デリックへと投げかける。
 
「終戦となったらお主にも故郷はあるのだろう?
戻るのか?」
 
デリックは、口数少なくただ、頭兜の首部分を
縦に振って肯定の意を示すだけだ。
 
「そうか、やはり皆故郷に戻るのだな。」
「・・・・・・。」
 
暫しの沈黙が降りる。
 
「故郷シノンから遠く離れた地で・・・儂らは戦った。
ナルヴィアの人々はそれを暖かく見守り支えてくれた。
ナルヴィアは第二の故郷といっても差し支えない。」
「・・・。」
 
「武器工房の主人達、売り子達、厩屋の旦那、
酒場の主、そして傭兵ギルドの皆、修道院の者達、
ヴェリア神殿の司祭、エルスハイマー殿、
食堂の女将マリーベル錬金術師ルミエール…。」
 
順々に数えるように、感慨深げにウォードが呟く。
彼ら、彼女らには本当に世話になった。
それから目の前に居るデリックにもだ。
ウォードは続けて言葉を連ね、デリックに
暖かい笑みを向ける。
 
「我らは思えばあの天空に輝く小さな星星のような
ものかもしれぬな。
リース公子と言う巨星の元に集った・・・だ。」
 
あえて、自らの将をウォルケンス王と称さず
リースの名前を出したことでウォードの
シノン騎士団への忠誠心が伺える。
 「・・・・・・。」
 
デリックもまた頭兜を上に向けて、
星を眺めた。
星は小さく瞬き、柔らかい光を放っていた。
 
 
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