徒然の都

ベルウィックサーガ、ファイアーエムブレム聖戦の系譜&if、過去のSS置き場。

ベルウィックサーガ・4週目攻略メモ その41(最終回)

15章「英雄伝説」 191ターンクリア
 
 
出撃要員:リース+ウォード・セネ・イゼルナ・パラミティース・アーサー・ルヴィ・
イストバル・シルウィス・フェイ・ファラミア・バロウズ・エルバート・サフィア・
リネット
 
 
【オマケ・ミニ小説~15章】
 
リース達シノン騎士団の活躍により、ナルヴィア王宮はヤーカーラムと
帝国兵達から解放された。
王宮に住まう者は皆安堵の息を零し、口々に
リース公子の手柄を褒め称えた。
これでナルヴィアに迫る脅威は全て取り除かれた。
遺体となったウォルケンス王の側に、妹である
シェンナ王女が駆け寄る。
それに続いてリード公爵とロズオーク公爵も続き、遺体を
奥の部屋へと運ぶ準備をする。

「兄上・・・。」

シェンナ王女は気丈にも涙一つ見せる事は無かったが
その心中を察するにとても悲しい気持ちであった事は間違いない。
シェンナは、続々と集まってきたナルヴィア兵達の前に立って
顔を真っ直ぐに上げて労いの言葉をかける。
 
「皆さんよくぞこの城を守ってくれました。
有難う。
ウォルケンス王亡き後、今後の指揮は私が執ります。
従ってくれますね?」
 
兵達は傷つき、疲れていたがシェンナの
その言葉に勇気付けられたように
頷くと皆その場で膝をつき、頭を垂れて
主君に従う意を示した。
シェンナはその様子を見ると
一つ頷き、奥の部屋へと歩いていく。
 
 
その2日後、ウォルケンス王の葬儀はひっそりと行われた。
王家の紋章を掘り込まれた高価な棺に入れられた
ウォルケンス、その棺の中には色とりどりの花が手向けられている。
葬儀の指揮を執るのはシェンナ王女。
そしてその補佐役として
選ばれたクエスクリア司祭長も忙しく立ち働いている。
列席したのは有力貴族や公爵家の者達だったがその数
150名程。
ナルヴィア王宮が広いとはいえ是ほどの人数が一同に集まる
となると、部屋はいささか狭く思えた。
そして昼の時刻になって、各々が軽い食事を取るために
割り当てられた部屋へと案内されると
ずっと立ちっぱなしで列席者に応対していた
シェンナ王女も自分の部屋へと戻ろうとした。
すると、するすると素早く黒衣にフードをかぶった
一人の男が彼女に近づいていく。
それを目ざとく見つけたリース公子は

「何者だ、帝国の刺客か。」

と誰何の声を上げて腰の儀礼用のレイピアに
手をかける。
リースのすぐ隣に居たリネットは慌ててその手の上に
右手を重ねて、止めようとする。
そう、以前リネットの側に居て軍の指揮を手助けしてくれた
のは紛れも無く目の前の
黒衣の男だ。
それを知っていたからこそリネットは、
事情を話そうと口を開きかけた。
リネットは黒衣の軍師を心から信頼していたし、
その正体にもうすうす気がついていたから
彼がこの場に居合わせた事に何ら疑問を持って
居なかった。
 
 
「シェンナ。俺だ。」
 
黒衣の男が口を開くと、シェンナは吃驚したように口を僅かに
開き、信じられないと言った風に男を見つめる。
 
「その声は・・・ベルナード兄様?」
 
目深にかぶっていたフードをぱさり、と後ろへ外すと
中から現れた顔はシェンナがずっと会いたいと思っていた
相手だった。
赤毛を短く刈り込み、聡明な瞳を持つ異才の軍師、ベルナード。
彼はシェンナの従兄にも当たる。
おお、と四方から声が上がりリードやロズオークも
突然の来訪者に吃驚している様子だ。
 
「シェンナ。君を助けに来た。俺に出来ることは無いか?」
「兄様・・・その言葉だけで嬉しく思います。
兄様の顔が見れただけで私は!」
 
喜びの顔を見せようとしたが、今は葬儀の真っ最中だ。
思いがけない再会の喜びはあれど、貴族や諸侯達の手前浮かれている
訳にも行かない。
 
「とりあえず、こちらへ。お部屋で積もる話をしましょう。」
 
と侍女に命じて部屋を手配させると
シェンナは浮き浮きとした足取りを隠し切れずに
ベルナードと共に王宮の一室へと入っていった。
リネットは、ああやっぱりと言うような顔をして
にこやかにその様子を見つめると
驚き立ちつくしているリースに
これまでの経緯を話すのだった。
 
 
つつがなく執り行われた葬儀は終わり王家の
墓地へと埋葬されたウォルケンスは
政治の舞台から去った。
後に残された王家の血筋を持つ者は
シェンナだったが
ベルナードが側に居る以上は
政治の面では問題ないだろう。
それにシェンナは女ながらに
卓越した知性と政治的手腕を持っていたので
皆が安心し、彼女なら国を任せていいだろうと期待を
込めて見守っていた。
 
 
更に数日後、シェンナはベルナードと婚礼の式をあげると
発表する。
長く続いた戦いで疲弊していた
民達はその明るいニュースに喜び、2人を祝福し
大いにその話で盛り上がった。
 
リースは、故郷に戻る前にナルヴィアで世話になった人々に
挨拶をしようと街の各地を回っていた。
その道中で、
まだ生まれてから一週間も
経っていないであろう赤子を抱いた
母親がリースの元へと
駆け寄って来るのが見えた。

「リース公子様ですね?あなた様は私達の
英雄です!」
「有難う、その子には戦争のない世界を
見せられる、私達が体験した戦争のある世界が
当たり前ではない世界を。」
「そうですね・・・!そうそう、この子にはまだ
名前を付けていないのです。」

そう言って母である女性はじっと自分の愛しい
赤子を見た。そして思い切ってリースに
告げる。
 
「リース様のありがたい名前にあやかって『リース』と言う
名前を頂戴して
つけたいと思います。よろしいでしょうか?」
「ああ、勿論だとも。」
 
リースは柔らかい微笑みを見せた。
未来ある子供に、偉大なるヴェリア女神の祝福があらんことを。
心の中でそう呟き、リースは前へと歩き出した。
 
~終~