徒然の都

ベルウィックサーガ、ファイアーエムブレム聖戦の系譜&if、過去のSS置き場。

ベルウィックサーガ・4週目攻略メモ その25

第8章依頼その2「武器屋の事情」17ターンクリア

 

 

 

出撃要員:クレイマー・フェイ・イゼルナ・ラレンティア・

マーセル・エニード・シルウィス。

 

 

【メモ】5ターン目にゴメス撃破。

氷竜は、エニードの魔法(パラスレイア)で撃破。

 

 

 

【オマケミニ小説~8章依頼その2】

 

「親愛なる騎士様へ…

突然のお手紙をお許し下さい。

私は武器屋の娘セシリーと言います。

何時もウチの店で剣や盾を買ってくださって

有難うございます。

 

騎士様は私達ナルヴィアの民の為に

戦ってくださっているのでしょう?

それはとても、素晴らしいことだと思います。

そして、そんな素晴らしくて立派な騎士様の事を

私はいつも武器屋のカウンターの奥から

見ていました。

素敵な方だなって…。

それで出来たら…一度何処かに一緒に

行ってゆっくりお話できればいいなあと

思っています…。

図々しいお願いかもしれませんが

何卒ご一考くださいませ。

それでは、お返事をお待ちしています。

              セシリーより」

 

 

 

「書けた、書けたわ!」

手紙を書き終えたセシリーは

ウキウキとした調子で便箋を丁寧に2つに畳むと

それを封筒に入れて封をした。

恋する乙女とは即ち今のセシリーの事である。

 

「後は騎士様にこれを渡すだけ…。」

 

 

数日後、その好機が訪れた。

武器屋にシノン騎士団の一員であるマーセルが

やってきたのである。

マーセルは、武器や防具が並べられた店内で一生懸命

品物を見ている。

その背中に声を掛けるのはとても勇気が要ったけれど

セシリーは、おずおずとマーセルに声を掛けた。

 

「あの、騎士様。これを読んでください…!」

 

花柄が書かれたいかにも女の子の物らしい手紙を

小さい両手で差し出して、マーセルの返事を待つ。

マーセルは最初キョトンとしてその仕草を見ていたが

やがて口を開いた。

 

「これは武器の代金の請求書…?」

 

 

途端にセシリーは今までの緊張はどこへやら、

一生懸命に否定する。

 

「ち、違います…。これは私の気持ちです。

騎士様に私の気持ちを知って欲しくて。」

 

 

だがマーセルは手紙を受け取ってくれなかった。

少し申し訳なさそうに、だがきっぱりと

手紙を受け取る事を拒否したのだ。

 

「私は今は騎士として祖国を守る事を使命としています。

貴女の気持ちは嬉しいのですが受け取れません。」

と。

 

 

セシリーは、がぁんと頭に重い物でもぶつかるようなショックを

受けて顔を俯かせる。

 

「そうですか…分かりました。」

 

手紙を受け取ってもらえなかった事に失望しながら

セシリーはふらふらとカウンターの自分の席へと

戻る。

そのままぼーっと、椅子に座って

武器屋のドアから外を見ると景色がどんよりと

曇って見えた。

今にも雨が降りだしそうな曇り空。

灰色の雲で覆われた外の世界は色褪せている。

失恋したのだ…と思うとセシリーは

今までの高揚感が嘘のように消えて

ただ、マーセルが武器屋から出ていくのを

黙って見守るしかなかった。

手紙は封を切る人もなく、テーブルの上に置かれたままだ。

行き場のなくなった手紙が、悲しく見えた。

 

 

 

サアアーと小雨が降ってくる。

やがて雨は本格的な土砂降りになっていった。

 

「……。」

 

セシリーは、無言で雨の中を歩いていた。

自分でもどうしてこんな場所を歩いているのか

分からない。

しかも大雨の降る中で、雨具も着ずに。

何時しか、セシリーの瞳には涙が溢れて

雨露の雫と共に瞳からこぼれ落ちる。

 

「この恋は本物だと思ったのに…。」

 

あっけなく終わった自分の恋。

情けなくて涙が出る。

そうやってさめざめと泣いてると、

そこへ一人の貴族風の男が通りがかった。

 

「お嬢さん…、こんなところで居ては風邪を引きますよ。」

「え…?」

 

突然声をかけられ戸惑ったのか、セシリーは涙を

隠すこともなくそちらを振り返る。

見ると赤毛の優男が心配そうな面持ちでこちらを見ていた。

 

「貴女のような美しい方が…そのように泣いているのを見ると

心が痛みます。」

 

すらすらと男の口から淀みなく発せられる言葉。

セシリーは、今までに異性からそのような

美辞麗句を言われたことが

なかったのでやや戸惑った風に相手の瞳を見つめる。

 

「私が、美しい…ですか?」

「はい。よろしければ話を聞かせてください。」

 

 

 

それが悲劇の幕開けとなったのを誰が知るだろうか?

レーンと名乗ったその男は、詐欺師で有名な

悪者だった。

だが素直で人を疑うことを知らないセシリーは

男を信頼し、ついに店のお金を持ち出して

2人で駆け落ちをする、という話になった。

少しでもセシリーに知恵があれば男の嘘が

見破れただろうに。

男の巧妙な話術に乗せられて

セシリーは待ち合わせ場所へと向かう。

 

 

 

「セシリー、急ぎますよ。」

 

男はにこ、と嫌味の欠片も無いさわかやな笑みを見せて

促した。

 

「はい、男爵様…。」

 

2人が向かうのはナルヴィアから遠く離れた

雪が降る地、ピレネー。

そこで待っているのは、セシリーを奴隷商人へと

売り飛ばそうと画策する悪党達だ。

そんな手はずになっているとは露とも知らずに

セシリーは浮き浮きと

楽しげな調子で歩を進めるのだった。

 

 

 

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