徒然の都

ベルウィックサーガ、ファイアーエムブレム聖戦の系譜&if、過去のSS置き場。

ベルウィックサーガ・4週目攻略メモ その26

第8章特殊依頼「ラーズの祭壇」301ターンクリア

 

 

 

 

出撃要員:強制出撃→フェイ・ファラミア。

他の面子はメモし忘れていて覚えてないです。

レオンとアデルは出撃していたような気がします。

 

 

 

【備考】

家具→盾の置き物購入。

 

 

 

【メモ】

2ターン目にクレイマー戦闘不能(キュアヒールで治す)

6ターン目でニザール戦闘不能。

8ターン目でラレンティア戦闘不能。(キュアヒールで治す)

アーゾヴィを301ターン目に倒してマップクリア。

 

 

 

 

【オマケミニ小説~特殊依頼その2】

 

自分が如何に心に憎しみを持って剣を振るっていたのか…

フェイは深く己を省みては反省していた。

船上の人となったフェイは眼下の雄大な海を眺めながら

一つ深呼吸する。

今彼女は、故郷であるイズミル国へ帰国の途に付いている。

 

自然豊かで住む人の心が暖かい、イズミルの国。

 

そこへと戻るためには、まず父の仇であるカオスを

倒すことが必須なのだ…と頑な(かたくな)に

考えていた昔のフェイでは無い。

今は、再び父や母に会う事、故郷に戻れる

喜びだけが心の内にある。

憎しみで心を一色に染める前の素直なフェイに戻ったのだ。

 

 

 

やがて船は陸に着き、船と大地をつなぐ板が下ろされる。

その板の上を通ってイズミルの大地へと降り立つと

フェイは改めて「故郷に帰ったのだ。」

という実感が心の内に込み上げてきた。

幼い頃から見知った光景。

水田と呼ばれる「白米」を

作り上げるための四角い土地。

イズミル特有の衣装である「着物」を羽織った

子ども達がフェイの横を楽しそうに横切っていった。

変わらない、その光景に目を細めながらフェイは

まっすぐに道を歩き、そして荷馬車に乗る。

幾ばくかの金を払うことで、人を乗せて道を歩く馬と人。

ごとごと…と言う

心地よい揺れの中で、フェイは目をつぶって

大地の音と空気の音を聞いていた。

 

 

 

「フェイ、おかえり。」

 

出迎えてくれたのは、母と呼ぶ人物。

そして家の奥の方から父の声も聞こえる。

 

「ただいま戻りました。」

 

家の敷居を跨ぐと、腰に下げていた剣を

母に渡し父に挨拶すべく歩を進める。

帝国の暗黒騎士カオスの手によって

「二度と剣が握れない体になってしまった」

父コウエンの姿を認めると深く頭を垂れて

一礼する。

小さい頃から礼儀として体に染み付いた動作だ。

コウエンは不自由な体ながらも

布団からゆっくりと起き上がって、

笑顔でフェイを出迎える。

 

「父上、お体の具合はいかがでしょうか。」

「ああ、お前の顔を見て元気が出た。よく戻ってきてくれた。フェイ。」

 

 

コウエンは、よく通る声でそう言うとフェイの母を呼び、

何事か告げた。

彼女は心得た、と言わんばかりに頷くと

フェイに優しく微笑みこう言った。

 

「フェイ。長旅で疲れたでしょう。温泉にいってらっしゃい。

ゆっくり温まって来るのですよ。」

 

 

 

温泉

その名前の通り、大地からこんこんと溢れる

天然の湯。

その湯は様々な薬効があり武人の多いイズミルの国では

湯治の場として重宝されていた。

天然の岩に囲まれた温泉で、フェイは着ていた服を全て脱いで

編んでいた髪も下ろし、

足先を湯に漬ける。

じわりとした熱さが、足の先を温めていく。

そしてゆっくりと湯の中に

体を沈めていき肩の上まで湯に浸かると

今までの疲れがすうっと薄れていくのを感じた。

 

思えば温泉に入るのは何時ぶりだろうか。

傭兵として戦いに参加している間は、まともに

風呂に入れないことも多々あった。

その時は、沸かした湯で湿らせた布で

体を拭くだけだった。

 

 

イズミルでは、大きな桶の中に貯めた

湯の中に入る風呂という施設がある。

温泉はその発展した姿とも言える。

地熱によって温められた地下水が吹き出す自然が作り出した

大規模な風呂、といった感じか。

通常は何人も入れるのだが今はフェイ一人しか

入っている者は居ない。

 

 

しばらく湯に浸かっていると、背後で

何かの気配がした。

そちらを見ると、野生らしき猿が2匹。

こちらの様子を伺っている。

猿も温泉に入りに来たのだろう。

フェイは、猿に場所を譲るためにザバッと湯から上がり軽く体から

水気を散らすと再び衣を

身に纏う。

そしてゆっくりと丁寧に白い布で

髪の毛を拭いていく。

髪や体を洗う石鹸も持ってきていたが、イズミルに滞在している間は

温泉に何度も来られるのだ。

今日は猿に温泉を譲って、心地よい夜風に当たりながら

家路への道を歩いていく。

 

 

コロコロコロ…と涼やかに秋の虫が鳴く。

草の中で大合唱をしている虫の声も懐かしく、

暫く耳を済ませていると、そよ…という風と共に

とても魅力的な香りが鼻をくすぐる。

食物の匂い、この匂いは焼き魚だろうか?

時刻はいつの間にか夕餉の時間になっていたのだ。

素朴で、牧歌的なイズミルの日常。

戦いが激化していく中で

この場所だけは、戦場とは無縁ではないのか、という錯覚にすら

陥るようなそんなのどかさである。

 

 

 

 

そうして家に戻ると父から告げられたのは

秘伝の奥義「神舞剣」をフェイに授けるという事であった。

フェイは、その奥義が伝説上の物であることを

知っていた。

イズミルの伝説に出てくる架空の技だと

思っていたのである。

 

「父上…その技を教えて下さるのですか?」

「今のお前の、技量ならば使いこなせるだろう。

だが技術の問題だけではない。剣を扱う者に必要な物、それは「心の鞘」だ。

お前には心の鞘がある。」

「心の鞘…!」

 

 

その言葉を深く心の内に刻み込み戦いへの決意を新たにする。

 

 

(私はこの剣で誰かを守りたい。

その誰かはこのイズミルの国の人を含む

誰かであり…これから世界で生まれてくる子ども達のため…

剣を持たぬ全ての人の力になりたい。)

 

 

 

一介の東方剣士に過ぎなかった少女が、伝説の「聖剣士」として

生まれ変わるのもそう遠い未来では無い。

神舞剣を授かった少女は、これからは力持たぬ者達の為に

その剣を振るうだろう。

 

 

 

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