徒然の都

ベルウィックサーガ、ファイアーエムブレム聖戦の系譜&if、過去のSS置き場。

ベルウィックサーガ・4週目攻略メモ その14

第5章依頼 「ルミエール」 80ターンでクリア
 
 
 
出撃要員:レオン・アデル・アーサー・イストバル・
ディアン・サフィア・ラレンティア・セネ
 
 
 
【攻略メモ】
ボルトナイフGetだぜ!!の回。
40ターン目にクリシュナ出現。
43ターン目にクリシュナ捕縛。
57ターン目にザイアス捕縛。
 
 
 
【オマケ・ミニ小説~5章依頼】
 
 
 
シノン騎士団に所属する、アデルは一人の女性に
密かに想いを寄せていた。
職人工房で錬金術師としてその腕を
振るうルミエールに、である。
この事は誰にも言っていない筈なのに、なぜか
相棒であり親友でもあるレオンには
恋する女性が居る事がバレてしまっていた。
 
 
「お前はすぐ顔に出るからな!」
 
 
とはレオンの言葉である。
今日も今日とて酒場で雑談をしながら
レオンとアデルは共に酒を飲んでいた。
 
「で、どこの誰なんだ?」
「…それは言えない。だが告白する機会が
あればチャレンジしたいんだ。」
 
 
コップに入ったウィスキーをぐいっと煽ると
アデルは赤い顔で
レオンにそう言った。
そんなアデルを見ながらレオンはいきなりぽんっと膝を
手で打つと、悪巧みを思いついた子供のように
微笑んで、提案する。
 
 
「ふむ、それならこの作戦はどうだ?
『自分の部屋の鍵を渡して告白大作戦』!!
その名前の通り、お前の鍵を渡して
それとなく好意を伝えるんだ。」
「は…、そういうのを受け取ってくれる相手だとも
思えないのだが。」
「いや、俺の経験上この作戦で落ちなかった女は居ない!
だまされたと思ってやってみろよ。」
「…本当にだまされているような気分なんだけどな。」
「この!」
 
レオンも酒が入っているせいか、肘でアデルの腹を思いっきりこづく。
思わず「ごふっ。」とむせながらも
アデルは、ルミエールの事を考えていた。
 
 
 
(部屋の鍵作戦か…)
 
 
 
それから数日後。
リース達が居る館の執務室に
ある知らせが届いた。
 
 
「信頼のおける部下の方一名を選んで、
職人工房まで寄越してください。」
 
 
と。
それならば、とちょうど居合わせていた
アデルに訳を話しウォードは職人工房に向かうように
指示する。
アデルはルミエールに会えるのだと思うと、軽い足取りで
職人工房へと向かった。
 
そこで待ち受けていたのは、
工房長のダントンをはじめとする、職人達の重く沈んだ
顔だった。
しかもいつも工房に居るはずのルミエールの姿が無い。
アデルは、少しの間黙っていたが思い切って口を開いた。
 
「あの、今日はルミエールは?」
 
武具職人のオーランドという男が、半分泣きそうな情けない顔で
その質問に答えた。
 
「ルミエールは、山賊に捕まってしまったのです…今回貴方を
お呼びしたのは要求された身代金を山賊のアジトへ持っていって
もらう事を頼みたかったのです。」
「なんだって…すぐに救援部隊を結成して何としてでも
ルミエールを救出しなければ。」
「待ってください。身代金を支払わねば彼女を
奴隷市場へ売りとばす、と脅されているのです…。
それにもし救出に失敗したらどうなりますか?
ルミエールはこの工房にとって
かけがえの無い存在なんです。
万が一にも失敗などということがあれば…
私達は…」
 
オーランドだけでは無く、他の職人達も同意するかのように深く頷いた。
 
 
(ルミエールは、この工房の人々からとても愛されているんだな。)
 
 
アデルは心の中で呟くと、工房に集まってきていた
職人一人一人の顔を見ていく。
皆が皆、ルミエールの身を心底案じていた。
 
「それで身代金なのですが…何分多額なので今工面している最中なんです。
なるべく早く集めますので少しだけお待ち願えますか。」
「分かりました、一度戻りますが呼ばれたらすぐ来ますから。」
 
 
 
 
 
アデルは自分に割り当てられた部屋に
戻るとドアを鍵を使って開ける。
今頃ルミエールは心細い気持ちで居るに違いない。
周囲が許せば一刻も早く彼女を助けに行きたかった。
だがオーランド達の言い分も良く分かる。
無茶な救出作戦でルミエールの命が
危険になって最悪の場合帰らぬ人となったら元も子もないのだ。
 
「くそっ!」
 
ダンッと壁を叩いて悔しげに舌打ちすると
そのままアデルは床に寝そべった。
天井を見ながら、ルミエールの表情や仕草を思い出す。
いつも丁寧な物腰で応対してくれる彼女の笑顔。
錬金の技による
アイテムの作成をソツなくこなす知性。
そして皆から愛される天性のカリスマのような物。
それらが全て壊されてしまうなんて絶対に嫌だ。
そう、あってはならないことだ。
 
「くそっ、くそー!!」
 
アデルは彼らしくも無くいつもの落ち着いた仮面は殴り捨てて
本気で怒っていた。
 
 
 
 
それから半日程経っただろうか。再び職人工房から使いの
者がやってくるとアデルを呼びに来た。
アデルは急いで走って工房へ行きバンとドアを開ける。
 
「身代金は…」
「何とか用意できました。後は届けていただけるだけで…」
「分かった、責任を持って届けましょう。」
 
 
アデルは地面に置かれたずっしりと重たい袋を手に持つと、
一度執務室へ帰った。
ウォードはアデルから一部始終の話を聞き
深く頷き
 
「山賊のアジトへと赴くのは明日だ。」
 
と告げた。
 
 
時は夕刻、空は薄闇の中に溶け込んでおり
そして今にも雨が降りそうな
曇り空だった。
その様はまるで職人工房の職人達の暗い心持ちを表すかのように、
そしてアデルのやり場の無い憤りを増大させるかのようであった。
 
 
(ルミエール…待っていてくれ。きっと救い出すからな。)
 
 
アデルは心の中で誓い山賊のアジトに向かう時を待っていた。
 
 
 
~終~ NEXT 山狩り