徒然の都

ベルウィックサーガ、ファイアーエムブレム聖戦の系譜&if、過去のSS置き場。

ベルウィックサーガ・4週目攻略メモ その35

11章任務「流血の谷」24ターンクリア
 
飯→レオン→ポークソテー
イストバル→鳥と茸のソテー
アーサー+ウォード→ローストビーフ
フェイ→ヤギの香草焼き
ダウド+エルバート→シノン風オムレツ
リース→ナルヴィ風サラダ
イゼルナ→エビと茸のマリネ
 
出撃要員:リース+ウォード・イゼルナ・レオン・エルバート・ダウド・
イストバル・ラレンティア・アーサー・セネ
 
 
【オマケ・ミニ小説~11章任務】
 
 
ウォードは、今日も名門貴族である
エルスハイマーの館を訪れていた。
エルスハイマーとはかなり長い付き合いになる。
彼は所謂コレクターと言う人種で戦場で手に入るアイテムを
ウォードから高額で譲り受ける、と言う事を何回か行っている。
もう何度目だろうか、コレクションの品を持ち込んだのは。
時には酒を酌み交わし、時には魔剣の呪いからその身を助け…
そして、今日、遂にコレクションの品を収めた
キャビネットが全て埋まった。
感無量と言った表情で、エルスハイマーは感涙し、その横で静かに
メイドのクララが主人にハンカチを差し出す。
 
「す…素晴らしい!!これでコレクションの品が全て揃いました。」
 
ずずっと鼻水をすすりながらエルスハイマーは、ウォードに礼を言う。
 
「いや、何より…こちらとしても嬉しい限りですな。」
 
ウォードもキャビネットに収められた珍しい戦利品の品々を眺めて
しみじみとそう呟く。
キャビネットの中にはラーズ帝国の司祭が使う、闇の
魔導球やらアサシンの武器、珍しいドラゴンの鱗等が
鈍く光を纏いながら陳列されている。
エルスハイマーは、それらを眺め惚けたようにほう、
と深い息を付くと、クララに目で
合図をして、ウォードに話しかける。
クララはパタパタと軽い足音を立てて部屋を出て行った。
 
「これは、粗品ですが…是非ともウォード様に貰って頂きたい。」
 
クララがワゴンを押して静かに部屋に戻ってくると、
ワゴンの上には白い絹の布で覆われた何かが在った。
形状からすると丸い盆のような何かに見える。
 
「これは…?」
 
ウォードがワゴンに乗った何かを注視すると、
クララがゆっくりと布を取り払った。
中から光り輝く白い盾が現れる。
細工も見事なそれは、僅かながらも魔力も秘めているようだ。
 
「フォルエンデンという盾です。どうぞ遠慮なく
お持ちになってください。それと…。」
 
ウォードがその素晴らしい盾に目を奪われていると、
エルスハイマーは飛んでもない事を言い出した。
 
「是非ともクララをお連れいただきたいのです!
クララ、今日からシノン騎士団の方々がお前の主人だ。
良く仕える様に。」
「かしこまりました。エルスハイマー様。」
 
その言葉には流石にウォードも目を剥いた。
 
「気持ちは嬉しいのだが、それは少々困りますぞ。」
 
と。
だがエルスハイマーは、とんでもないと言う風に首を
二三度横に振ると
 
「是非、是非とも!」
 
と一歩も譲らない。
 
(やれやれ、リース様になんとご報告すればよいのだ…。)
 
内心、頭が痛いというように呟けば
メイドのクララを連れてナルヴィアに居を構えるシノン騎士団の
本部、執務室へと戻るウォードだった。
 
 
その次の日の朝、リースが何時ものように倉庫に
アイテムを置きに来た時だ。
倉庫には、見知らぬ女の子が居た。
その女の子は白いエプロンに青の上等な服を着ており
丁寧にリースに頭を下げて言った。
 
「ご主人様、お帰りなさいませ。」
「…!?」
 
その姿にリースは、無言で思わず倉庫のドアを
ガタンと閉めると、執務室に控えているウォードに尋ねる。
 
「倉庫に知らない女の子が居るが、彼女は一体…?」
 
その問いに関してウォードは冷や汗を掻きながら、
かくかくしかじか…とエルスハイマー宅での出来事を
リースに説明する。
丁度そこに居合わせたティアンナと共に
リースは、神妙な顔つきで
そのウォードの言葉を聞くと。
 
「そういう事なら歓迎する。彼女は恐らく戦いには
不向きだろうが、シノン騎士団に所属する者として
大事にして上げて欲しい。」
 
 
「そうと決まれば、早速クララの歓迎会ですね。」
 
歓迎会を提案したのはティアンナだ。
控え室に居るロゼリーやアルヴィナ達も呼んで
その日は囁かなパーティーが開かれた。
シャンパンの入ったグラスをお盆に乗せて
部屋に入ってきたのはロゼリーだ。
 
「クララを呼んできます。」
 
ティアンナはリースにそう告げると、
執務室に隣接する、倉庫のドアを開けた。
そこでは直立不動の姿勢でクララが立っている。
 
「ご主人様。本日のご用件は何でしょうか?」
 
ティアンナにも丁寧に頭を下げてそう事務的に
問いかけるクララに手招きをする。
 
「今日は貴女の歓迎会よ。さあ、こっちの部屋へ来て。」
 
その言葉にクララは少し困ったように眉根を僅かに寄せると
淡淡とした調子で答えを返す。
 
「私はシノン騎士団のアイテムを管理する役目で
こちらへ来ました。だから歓迎会は不要です。」
「そんな事を言わずに。私がリース様に怒られてしまいます。」
 
ティアンナはクララの腕を引っ張るようして、
執務室へと招き入れると。
そこにはグラスを掲げたリース達が待っていた。
暖かな笑顔の輪に思わずクララが僅かに目を大きくする。
ロゼリーがシャンパンをクララに進めようと近づいてくる。
 
「さあ、クララさん。グラスをどうぞ。」
 
 
その歓迎会はクララの人生の中で光り輝く思い出の
一つとなった。
 
 
(エルスハイマー様。シノン騎士団の方々はとても優しくて
暖かいです。…私はこのように幸せでいいのでしょうか?)
 
 
クララはそっと心の中でそう呟き、グラスを手に取ると
少し恥ずかしそうに笑んでそっとそのグラスを自分の
目線の先へと掲げる。
誰からともなく、「乾杯!!」の号令が入った。
お菓子も配られ、その日は数時間楽しい語らいが行われた。
その話の中心に居るのはクララその人だった。
 
 
~終~ NEXT 「流刑の島」