徒然の都

ベルウィックサーガ、ファイアーエムブレム聖戦の系譜&if、過去のSS置き場。

ベルウィックサーガ・4週目攻略メモ その30

第9章依頼その2 「兵帖基地」 113ターンクリア
 
 
出撃要員:イストバル・ダウド・セネ・イゼルナ・ラレンティア・
クレイマー・レオン・シロック・エルバート・ディアン
 
 
28ターン目 セネ戦闘不能(キュアヒールで治療)
30ターン目 ディアン戦闘不能(キュアヒールで治療)
35ターン目 ゴーゼワロス捕縛成功
 
 
【オマケ・ミニ小説~9章依頼その2】
 
魔道士であるペルスヴェルは黙ってウェールの丘の上に立って
景色を見ていた。
ここから見える海は、壮大で何時までも
眺め飽きることはない。
ナルヴィアという土地に来て傭兵として日々の糧を得ながら
行方不明の姉を探す…ペルスヴェルはその合間にこうして
この場所に来て時々息抜きをするのだった。
ふと、背後にかすかな気配がしてゆっくりと後ろへ向く。
 
「ペルスヴェル…ここに居たの。」
 
よく聞き知った声と共に視界に薄い青の髪の少女が映る。
少女の姿を確認すると、ペルスヴェルはすっと目を逸らすように
泳がせた。
 
「どうして…私をそうやって避けるの?
このパラスレイアの魔道球をくれたのは貴方なのに!」
 
その少女、エニードは少し頬を膨らませてそう言う。
その言葉に対しても、あまり心動かされた風では無い
ペルスヴェルは、
 
「君に教える事は既に無いと言ったはずだよ。
だからここにはもう来なくていいんだ。」
「ひ、酷い。用が無ければペルスヴェルに
会ってはいけないというの?
私はもっと貴方とお話したいわ。」
「……。」
 
無垢なエニードの言葉にやや眉を顰めて
しかめっ面をしながら
ペルスヴェルはわざと突き放すように
言葉を投げかけた。
 
「こちらは話すことは無いよ。じゃあ僕はこれで失礼する。」
 
極力エニードの方を見ずにそのまま行き過ぎる。
ナルヴィアの街がある方へとゆっくりと歩みさって行きながら
ペルスヴェルの心はちくりと傷んでいた。
エニードに対する態度は間違っていないか、自問自答さえしてみた。
だが、このまま当たり障りの無い対応で誤魔化すしかないだろう、という
結論に出た。
 
 
丘の上に一人残されたエニードは懐から
パラスレイアの魔道球を取り出すと
じっと眺める。
赤い炎のような光が中心でちらちらと輝いている
パラスレイア。
それを見るエニードとて気がついていたのだ。
太古の昔からこの魔道球を使えるのは、ひと握りの
王族の末裔だけだと
いう事を。
 
(でも、真実を知るのは怖いわ…。)
 
エニードは己の両親の事を思い浮かべて
ぶるっと頭をひと振りする。
よく考えてみればペルスヴェルのあの態度は
何か重大な訳があるのに違いない。
今はまだそれは明かされるべきではないということも
エニードにはうっすらと分かっていた。
 
 
ペルスヴェルはナルヴィアの街に戻ると
傭兵ギルドへまっすぐに歩いていく。
傭兵ギルドでは様々な歴戦の強者が登録しており、
彼らに金さえ払えば護衛なり戦いなりに
力を貸し出す手はずになっている。
ペルスヴェルもこのギルドに所属しており、
日中はここで過ごすことが多い。
しばらく人の行き来を眺めていると、入口から
一人の年上の女性が入ってくるのが見えた。
身なりからすると、街の人ではないだろう。
何処か高貴な雰囲気を纏わせている。
賞金首案内のバレリーに話かけているようだ。
そちらを何となく見ていると、その女性も視線に気がついて
顔をこちらへ向けてくる。
 
「あら、貴方は傭兵のペルスヴェル?」
 
女性は、何故かペルスヴェルを知っていた。
 
「はい、どうして僕の名前をご存知なのです?
何処かでお会いしましたか。」
 
ペルスヴェルは丁寧に頭を下げると、女性に問い返した。
 
「私はティアンナと言います。シノン騎士団の者といえば
分かるかしら?
私は騎士団で秘書官をしているのよ。」
 
気さくに話しかけてくるティアンナに
ペルスヴェルはハッと思い当たる節があった。
そういえば以前少しだけ彼女を見た事があるような気がする。
 
「そうでしたか。リース様によろしくお伝えください。」
 
そのペルスヴェルの言葉にティアンナはニコと笑みを見せると
バレリーから書類を受け取った。
そして踵を返そうとするティアンナにペルスヴェルは思い切って
声をかける。
 
「あの、ティアンナ様。お忙しいところすみません。
実は…。」
「ん?何かしら。」
「僕は生き別れの姉さんを探しているんです。
もしティアンナ様がご存知の事がありましたら
なんでも良いんです。教えてくれませんか?」
「いいけど…何か手掛かりはあるの?」
 
そう言われて、ペルスヴェルは
自分の知っている事をティアンナに話す。
情報は少なかったけれど、藁にでも縋る想いで一生懸命にだ。
 
18歳ぐらいの女性…ね。レイアの木彫りの像…。
うーん、手掛かりが少なすぎるけれど
何かこちらで分かった事があればすぐに知らせるわね。」
「お願いします。」
「それではまた。」
 
 
ペルスヴェルは、再び頭を軽く下げるとティアンナが
ドアから出て行くのを黙って見送った。
 
(姉さん…今頃はどうしているんだろう。)
 
ずっと前から探し続けてきたたった一人の
血縁である姉。
顔はおぼろげにしか覚えていないので「会えば分かる」とは
言い難いが、このまま諦める事はできなかった。
何としてでも姉と再会するのだ、という意地が今のペルスヴェルにはある。
 
 
そうこうしていると、
 
「こんにちは。ペルスヴェルさん、護衛の仕事を
頼まれて欲しいんだが。」
 
バレリーがやってきてそう声をかけた。
 
「分かりました。依頼者の方は居ますか?」
「こちらで待ってもらっているので
すぐにでも引き合わせましょう。」
 
ペルスヴェルが引き合わされたのは旅の商人、と
いう出で立ちの初老の男だった。
行商をしているのか背中にたくさんの
荷物を背負っている。
 
「ボルポス谷への道のりを護衛して欲しいんです、お願いしますよ。」
 
商人風の男はそう言うと、ペルスヴェルは一瞬怪訝そうな顔をする。
ボルポス谷といえば、以前シノン騎士団が
赴いた任地だと聞いている。
自分の記憶が正しければ、ボルポス谷の
盗賊達は一掃されたはずだ。
 
「あの…ボルポス谷は今は比較的安全なハズでは?」
「それが出るんです…幽霊というやつがね。」
「…幽霊?」
 
訝しげな顔をして、ペルスヴェルは聞き返す。
そんな超常現象めいたことは一切信じない質(たち)の
ペルスヴェルにとって
その話は、にわかには信じがたいものだった。
 
「黒く長い髪をした…東方剣士風の男の幽霊が出るともっぱらの
噂なんですよ。」
「へぇ…そうなのですか。」
「よほど現世に恨みを持って蘇ったのでしょうねえ。いや、怖いもんです。」
 
商人の男はしみじみとそう言う。
ペルスヴェルは内心(幽霊など居ない…。)と思っていたので
話半分に聞きながら、だがボルポスには盗賊の残党も居るかもしれない、と
ちらりと思いながら男の後について、
歩いていくのだった。
果たして、彼らが実際に幽霊に遭遇したかどうかは…謎である。
 
 
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