徒然の都

ベルウィックサーガ、ファイアーエムブレム聖戦の系譜&if、過去のSS置き場。

ベルウィックサーガ・4週目攻略メモ その34

10章依頼その2スコーピオン」12ターンでクリア
 
出撃要員:バロウズ・イゼルナ・シェルパ・イストバル・
エルバート・レオン・ダウド
 
【攻略メモ】
 
4ターン目、黒騎士登場。
10ターン目、ソフィー説得。
12ターン目、黒騎士のブラックシールド壊れる。
 
 
【オマケミニ小説~10章依頼その2】
 
 
スコーピオン」とは、同盟軍が開発に成功した
新しいバリスタ兵器の名称である。
製作者は、マルクーゼ工房の兄妹2人。
「照準機」と言う最新鋭の機材を搭載しており、
バリスタ同士を連結させる事で照準を共有し、
命中度を飛躍的に向上させている。
曰く、新米の兵士でも熟練兵並みにバリスタを
扱える所が長所だと言う。
その試作スコーピオンの実験が、ナルヴィアの郊外で
行われる事になった。
当初は、木で出来た柵を的に使って模擬実験が行われる
予定だったが…事態は急変した。
何処からか同盟軍の実験の情報が漏れたらしく
帝国兵の精鋭部隊が実験場に向かっているとの
事だ。
 
「…という訳でシノン騎士団にお願いするのは
スコーピオンの打ち漏らした敵の掃討です。
よろしくお願いします。」
 
技師のクランプ・マルクーゼはそう言って
エルバートにぺこりと軽く頭を下げた。
当初は、「実験の立ち会い」として依頼が来たのだが
途中から「スコーピオンの護衛・援護」に
内容がすり替わってしまっている。
だが、帝国兵は間近まで迫って来ている。
今は全力で、スコーピオンを護衛しつつ
打ち漏らしを倒すのみだ。
 
「当たった。また当たったぞ!やったぞ、ビアンカ!」
 
スコーピオンの照準機を用いて
狙いすまして打ち出される矢は
正確に敵帝国兵、精鋭の弓騎馬隊に吸い込まれていく。
どさりと音がして馬から帝国兵が落馬した。
騎手を失った馬はヒヒィインと悲しそうにいななきを残し明後日の
方へ駆けていく。
馬に乗っている人のみを的確に狙うスコーピオンの
性能は折り紙付きと言って
いいだろう。
 
「おい、クランプ!こっちにも新型を回してくれよ。」
 
軽い調子でそう声をかけるのは肩までの緑の髪の毛を緩く後ろで縛った
優男風の風貌を持つバロウズである。
 
「ああ。って、バロウズが何故ここに…?」
「俺が居ちゃ悪いのかよ。」
「シノン騎士団…そうか!今回立ち会いをしてくれているのは
バロウズが所属している軍隊だったのか。
よし、スコーピオンを一台回そう。」
 
予備として持ってきてあったスコーピオンを、バロウズの方へ
動かす。
 
「これが新型か!よーっし、こいつの性能を上に認めさせて
やろうぜ。なあ、クランプ!」
「頼んだ、バロウズ。だけど…」
「何が『だけど…』だよ。そんな否定的な事を言うなって。
この新型はお前とビアンカが散々苦労して作った努力の結晶だろ?
絶対成果は出ることは折り紙付きだ。早速使ってくる!」
 
 
バロウズは、他のスコーピオンに新型バリスタ機を連結させると
遠くに居る敵兵に狙いを定める。
はっきりと、敵の位置が分かりそれに向かって矢を飛ばすだけだ。
至極簡単である。
 
「こいつぁすげえぜ!」
 
気合を溜めつつ、じっと敵兵が止まる瞬間を待つ。
もう少し、もう少し…今だ!
ヒュウゥゥゥンという軽快な音と共にバロウズの放った
バリスタの矢は宙を飛び、見事に帝国兵に命中する。
 
「ほう、バリスタとは凄いものだな。」
 
近くに居たダウドがバロウズに声を掛ける。
 
「いや、そうでも…あるかな。へへっ!」
 
バロウズは笑いながら、もう一撃を撃つ為に
気合を溜めている。
 
バロウズが打ち損じたら、帝国兵は俺がトドメをくれてやる。
だから安心しろ。」
 
巨大な戦斧、バトルソウと呼ばれる武器を手に構えて
もう片方には通常よりは大型の盾を持って
ダウドは前線へと走っていった。
 
 
突如、遠方で物々しいヒヅメの音がして
一人の黒騎士が現れた。
重い甲冑で全身を包み、バケツのような頭にかぶるタイプの
兜をかぶっているので
顔は判別付かない。
その黒騎士は低い男の声で
 
「あいつ…命を粗末にするな…!」
 
と呟くと暫くその場で戦場の様子を確かめるかのように
佇んでいた。
戦場の空気が変わったのは、その黒騎士が現れてからだ。
後から、後からひっきりなしに弓騎兵の増援が現れ
スコーピオンの懐に潜り込む勢いで鋭い矢を放ってきた。
 
「ああ、スコーピオンが!」
 
クランプは、顔を真っ青にしながら
迫り来る帝国弓騎兵の攻撃に晒されるスコーピオンを
見て絶望の声をあげた。
 
「まだ、諦めるな!俺達が何とかする!」
 
そんなクランプに元気よく声を掛けて見せるのは、バロウズだ。
近くでは傭兵のシェルパが、バロウズを護衛しつつ巨大な大剣を
振るっている。
 
 
ヒヒィーーーン、と言う嘶きと共に黒い馬が背に黒騎士を乗せて
戦場を駆け抜けて来る。
単騎駆けだ。
試作スコーピオンの矢をくぐり抜け、懐に潜ると
槍の一突きでスコーピオンを軽々と破壊する。
 
「うわあ、止めろ!シノン騎士団は何をしているんだ!」
 
クランプは悲鳴にも似た声をあげている。
 
「ちっ、こいつを…喰らえ!」
 
バロウズが放ったバリスタの一撃が黒騎士にヒットする。
だが、怯む様子も無く、黒一色に塗られた盾でそれを受け止め
やり過ごすと
黒騎士は縦横無尽に戦場を駆け巡り、スコーピオンを
破壊していくのだった。
 
それをじっと眺めてばかり居るシノン騎士団では無い。
シェルパは、注意深く黒騎士を見ると、盾に細かい
ヒビが入っているのが
見て取れた。
 
(盾を破壊すれば、いけるな…!)
 
判断は一瞬。
脚力に物を言わせて一気に距離を詰め、槍が振り
下ろされた後の瞬間を狙う。
ガキィン!!
という鈍い音がして、シェルパの大剣が盾に振り下ろされた。
ガシャン!!!
盾がボロボロと崩れ粉々になるのが見えた。
黒騎士の表情は、見て取れない。
だが、盾を破壊したという事は、防御面が大幅に下がりこちらの
攻撃が通りやすくなったという事だ。
シェルパは再び、大剣を振り上げそして黒騎士の甲冑目掛けて
振り下ろした。
さて、この戦いの結末を知るは当人達のみ。
 
 
果て無きこのサーガもいよいよ終盤に差し掛かっている。
紡がれるのは、栄光の勝利か。はたまた別の何かか。
戦いの行く末は、如何に…?
 
 
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