徒然の都

ベルウィックサーガ、ファイアーエムブレム聖戦の系譜&if、過去のSS置き場。

ベルウィックサーガ・4週目攻略メモ その22

第7章特殊依頼「騎士の誇り」100ターンクリア

 

 

 

出撃要員:セネ・イストバル・アーサー・ラレンティア・

エルバート・イゼルナ・ルヴィ

 

 

 

【攻略メモ】

帝国補給兵が物資を持って離脱pointから

逃げるのでラレンティアを飛ばして

離脱pointを予め塞いでおく。

下の敵は全てルヴィに任せて

本隊は東周りルートで帝国兵を叩いておく。

100ターン目にダングスト捕縛。

帝国兵11名捕縛。

ルヴィ、イベント後に入団。

 

 

 

【オマケ・ミニ小説・特殊依頼その1】

 

 

ナルヴィアのとある酒場にて。

元王国の聖騎士クリフォードは今日も、

盛大に酔いつぶれていた。

最愛の妻を亡くしてから

ずっとこうなのだ。

テーブルの上には乱雑に

ワインやウィスキーと言った酒の空き瓶が

何本も転がっている。

酒臭い息を吐き、焦点の定まらぬ濁った赤い目で

店主にお代わりの催促をした。

朝から晩までずっとこの調子だ。

店主であるアレックスも最早止める気も

起きないという様に後ろの棚から酒を取り出すと

クリフォードに手渡す。

それを震える手つきで受け取ると

ワインのコルクを

栓抜きで抜き、それをグラスに注ぎ

口元へ持っていく。

ぐび、と一口飲んでは

休み一口飲んでは休みしつつ

ワインの瓶を順調に空けていく。

 

 

 

がたん、とそんな中

酒場のドアが勢い良く開いた。

入ってきたのは一人の初老の騎士。

そちらの方にちら、と視線を送ると

クリフォードはその見知った顔の騎士の

方から顔を背けるようにして

体の位置をずらした。

案の定、つかつかとブーツの音を響かせて

その騎士はクリフォードの席へやってくる。

 

 

「お主、娘のピンチにも動ぜずここで

酒を食らっていたのか?」

 

 

避難するような声の調子でその騎士、ウォードは

クリフォードに話しかける。

 

「……。」

「だんまりか。ルヴィは、村人からの

依頼を受けて単身山賊の退治に行ったというのにな。」

「…知っている。」

 

 

クリフォードはボソリ、と呟いた。

まるで不貞腐れたかのようなその呟きは、だが

ウォードの耳にしっかりと届く。

 

 

「ルヴィの事に関しては口出ししないで頂きたい。

いくらシノン騎士団のウォード殿と言えど…

親子の間に立ち入って欲しくはない。」

「お主…!」

 

 

ウォードはぎょろ、と目を剥いて

その言葉を聞くと目の前のテーブルに置いてあった

酒の瓶を取り上げる。

そしてその酒の瓶をカウンター側のテーブルへと

移動させると、再び大声を出す。

 

 

「そのような事を言ってお主は逃げているだけだ。

酒に溺れ、正気で無い者を装っている、

そんな今のお主は

話すに値しない。

今すぐ酒を断ち、素面(しらふ)の状態で

ワシと話をしようではないか。

まずは顔を洗って水を飲んで来るのだな。」

「余計なお節介を…しないで頂きたいものだ。」

 

 

酒の瓶は既にウォードの手によって

手元から離れてしまっている。

それをカウンターまで取りに行くでもなく

クリフォードは、ただ自分が空けたワイングラスにじっと目を注ぐ。

 

 

「…何故ウォード殿は、そのように真剣に怒るのだ?

私達の事などほうっておけばよかろうに。」

 

 

クリフォードは、そう言うと目頭をおさえて

テーブルに肘をつく。

 

 

「前にも言ったかもしれないが、ワシにもお主と同じ年頃の

娘が居るのだ。

ワシは、こんな性格だから娘はろくに話もしてくれないが…

大方、お主のところも父親に問題があって

口を利いてもらっていないのだろう?

そんな事ではいかん。

娘の墓と仲直りするような事態になってからでは遅いのだ。

今からでも

ルヴィを助けに行かぬか?」

「…私はこの酒場を動くつもりはない。

まだ酒を飲み足りぬのでな。」

 

 

そう言って、クリフォードが酒の瓶を取りに立ち上がろうとした時、

がつんと鈍い音がした。

ウォードが、拳を振り上げて

相手の横っ面を殴ったのだ。

千鳥足でクリフォードは、よろめくとそのまま

派手な音を立ててテーブルとテーブルの間に

倒れ込んだ。

 

「……。」

「お主がそこまで駄目な男だったとはな。

見下げ果てた奴だ!」

 

 

憤慨したウォードはもう一度倒れている

クリフォードの胸ぐらを

掴んで殴りかかろうとした刹那、店主のアレックスと

手伝いのロゼリーがおろおろ、とした調子で

やってくる。

 

 

「ウォード様、ここで騒ぎは困りましてね…。」

 

 

アレックスは、申し訳なさそうな顔でそう言うと

しゃがみこんでクリフォードを起こしにかかる。

ロゼリーが心配そうにこちらを見ていた。

 

 

「すまぬ、アレックス。つい頭に血が昇ってな…。

この通りだ。申し訳ない。」

 

 

ウォードは、軽くお辞儀をすると

懐から出した数枚のコインをチップとしてカウンターに置き

身を翻して酒場のドアに歩み寄っていき

そして酒場を後にした。

 

 

「クリフォードさん。立てますかね?」

「…気遣いは無用。」

 

 

ぼそり…そう言うと再びテーブル席に備え付けらえれた

椅子に座りなおす。

何故かその目は、僅かに濡れていた。

 

 

「アレックス、酒を…。」

 

 

かすれた声でそう言うと再び、静寂の訪れた酒場で

何時ものように一人ぼそぼそと飲んでいる

騎士の置物へと変貌した。

そうして酒場の閉店の時間までそうしているのだろう。

哀愁漂うその背中に、声をかける者は一人も居なかった。

 

 

 

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